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就業規則

2025.03.21

36協定の締結条件、届出、労働時間の上限について

tag:
労務管理 / 残業 / 36協定 / 労働法

目次

  1. 36協定とは?
  2. 36協定の締結条件
  3. 36協定の届出方法
  4. 36協定における労働時間の上限
  5. 36協定の違反に対する罰則
  6. まとめ


1. 36協定とは?

36協定とは、正式名称を「時間外・休日労働に関する協定」といい、労働基準法第36条に基づく協定のことを指します。このため、俗に「サブロク協定」とよばれます。

通常、労働基準法では、労働時間は1日8時間、1週間40時間を超えて働かせることができません。しかし、業務の繁忙期や特別な事情により、これを超える労働が必要となる場合があります。この場合に、企業が労働者に法定労働時間を超えて働かせるためには、労働組合や従業員代表と「36協定」を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。そうすれば、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働かせても違法ではありません。(ただし、超えて働かせる時間の上限はある)

36協定が締結されていない場合、会社は労働者を法定労働時間以上に働かせることができません。違反すると罰則が科される可能性があります。


2. 36協定の締結条件

36協定を締結するためには、以下の条件を満たす必要があります。

(1) 労働者の意見徴収が必要

36協定は、使用者(会社)と労働者側の代表者から、意見を徴収する必要があります。 労働者の代表者には、

  • 労働組合(労働者の過半数が加入している場合)
  • 過半数代表者(労働者の過半数を代表する者)

のいずれかがなります。

(2) 労働時間の上限を明記する

36協定では、以下の項目を明確にする必要があります。

  • 時間外労働の限度時間
  • 休日労働の有無と時間数
  • 特別条項の有無(特別な事情がある場合に限り、一定の上限を超えて労働させることができる制度)

(3) 適切な手続きを踏む

労働者の過半数を代表する者が適切に選出されていない場合、36協定の締結は無効となります。


3. 36協定の届出方法

36協定を締結した後、以下の手順で労働基準監督署へ届け出る必要があります。

(1) 届出の書類作成

厚生労働省のホームページや各地の労働基準監督署で36協定の届出書類をダウンロードし、必要事項を記入します。

(2) 労働基準監督署へ提出

作成した36協定の届出書を、事業所を管轄する労働基準監督署へ提出します。

提出方法は以下のいずれかです。

  • 直接持参
  • 郵送
  • 電子申請(e-Govを利用)

(3) 届出後の管理

36協定の届出が完了した後は、会社内に周知をし、従業員が閲覧できるようにしておく必要があります。


4. 36協定における労働時間の上限

(1) 原則的な上限時間

2019年の労働基準法改正により、36協定に基づく時間外労働の上限が厳格化されました。

  • 時間外労働の上限:月45時間、年360時間
  • 休日労働の上限:法律上の明確な上限なし(ただし、長時間労働の抑制が求められる)

(2) 特別条項付き36協定の上限

特別な事情がある場合、特別条項を定めることで上記の時間を超えて労働させることが可能です。ただし、以下の制限があります。

  • 年間の時間外労働は最大720時間まで
  • 月100時間未満(休日労働を含む)
  • 2か月から6か月の平均が80時間以内(休日労働を含む)

これらの制限を超えると、違法となり、罰則の対象になります。


5. 36協定の違反のデメリット

36協定に違反すると、以下のようなデメリットがあります。

  • 労働基準監督署から是正勧告される可能性がある
  • 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の可能性がある。
  • ブラック企業というイメージをもたれる可能性がある。

また、長時間労働が原因で従業員が過労死・健康被害を受けた場合、企業はより厳しい責任を問われる可能性があります。


6. まとめ

36協定は、企業が法定労働時間を超えて労働者を働かせるために必要な重要な協定です。適切に締結し、届出を行わないと法律違反となり、企業に罰則が科される可能性があります。

重要ポイントまとめ

  • 36協定は、労働基準法第36条に基づく協定で、労使間の合意が必要
  • 時間外労働は原則月45時間、年間360時間まで
  • 特別条項付き36協定では、年間最大720時間、単月100時間未満などの制限がある
  • 労働基準監督署への届出が必要
  • 違反すると、罰則の対象となる

労働環境を適正に管理し、法令を遵守することで、企業と従業員双方が健全に働ける環境を作ることが重要です。


この記事の監修

社会保険労務士法人堀下&パートナーズ
社会保険労務士 堀下 和紀

お客様に寄り添い、法律知識だけでなく相手の立場を理解し、本当に求められる最適な解決策をご提供することを信念としています。
また、特定社会保険労務士として労働トラブルの解決に尽力し、経営者の経験を活かして実務と理論の両面からサポート致します。

略歴
1971年 福岡県生まれ
1995年 慶応義塾大学商学部卒業 明治安田生命保険相互会社勤務
    (銀座支社・契約管理部・沖縄支社~1999年)
1999年 エッカ石油株式会社勤務
2005年 堀下社会保険労務士事務所
2021年 社会保険労務士法人 堀下&パートナーズ設立

主な書籍
「労務管理」の実務がまるごとわかる本(日本実業出版社)
・ 社労士・弁護士の労働トラブル解決物語(労働新聞社)
他 14冊

社会保険労務士 堀下 和紀

主な活動

セミナー講師/テレビ出演/書籍、記事執筆

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