Tips & Hints お役立ち情報

手続き

2022.03.11

高年齢雇用継続給付とは?

tag:
定年 / 再雇用 / 給付金 / 高年齢雇用継続給付 / 在職老齢年金
定年後再雇用する予定の従業員がいます。 給付金ってもらえるの?

給与額が下がる場合、高年齢雇用継続給付を受給できる場合があります。

高年齢雇用継続給付って何?

高年齢雇用継続給付は、60歳到達時等の賃金に比べて75%未満に低下した状態で働き続ける、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者に支給される給付です。

高年齢の就業意欲の維持、65歳までの雇用の継続を援助・促進する目的としています。

高年齢雇用継続給付には以下の給付金があります。

【高年齢雇用継続基本給付金】
基本手当(再就職手当など基本手当を支給したとみなされる給付を含みます。以下同じ。)を受給していない方を対象とする給付金で、原則として60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が60歳時点の75%未満となっている方で、以下の2つの要件を満たした方が対象となります。

1.60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
2.被保険者であった期間(※)が5年以上あること。

【高年齢再就職給付金】
基本手当を受給し再就職した方を対象とする給付金で、基本手当を受給した後、60歳以後に再就職して、再就職後の各月に支払われる賃金が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となった方で、以下の5つの要件を満たした方が対象となります。
1.60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
2.基本手当についての算定基礎期間が5年以上あること。
3.再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること。
4.1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に就いたこと。
5.同一の就職について、再就職手当の支給を受けていないこと。

(※)「被保険者であった期間」とは、雇用保険の被保険者として雇用されていた期間の全てを指します。なお、離職等による被保険者資格の喪失から新たな被保険者資格の取得までの間が1年以内であること及びその間に求職者給付及び就業促進手当を受給していない場合、過去の「被保険者であった期間」として通算されます。

定年後引き続き雇用する場合で、賃金額が低下する場合は【高年齢雇用継続基本給付金】の支給申請をご検討ください。

給付額は?

原則、支給対象月事にその月に支払われた賃金の「低下率」に応じて次の計算式によります。

※賃金月額=原則として60歳に到達する前6ヵ月の平均賃金

①低下率が61%未満の場合 

②低下率が61%を超えて75%未満の場合

※みなし賃金(賃金額の中に、減額がある場合は、その減額のあった賃金額を加算したもの)や支給限度額・最低限度額により減額や支給されない場合があります。

【60歳到達時の賃金月額が30万円である場合の例】

1,支給対象月に支払われた賃金が26万円の場合

低下率: 260,000円÷300,000円=86.6%

 となり賃金が75%未満に低下していないので支給されません。

2,支給対象月に支払われた賃金が20万円の場合

低下率: 200,000円÷300,000円=66.6% 

となり61%を超えているので支給額は16,430円(上記②)となります。

3,支給対象月に支払われた賃金額が18万円の場合

低下率: 180,000円÷300,000円=60.0%

となり低下率が60%なので支給額は27,000円(上記①)となります。

対象従業員が年金を受給する場合は、年金額が減額される可能性があります!

特別支給の老齢厚生年金を受給しながら同時に高年齢雇用継続給付を受給している場合は(65歳未満で在職中の厚生年金保険加入者)、高年齢継続給付の受給額に応じて年金の一部が支給停止されます。(併給調整)

※標準報酬月額=給与額の区分(等級)ごとに設定されている計算用の金額

【例】60歳到達時賃金額300,000円 標準報酬月額180,000円の場合

61%未満(60%)となるため標準報酬月額180,000円の6%相当の10,800円が支給停止となります。

また、上記の高年齢雇用継続給付を受給の有無に関わらず、

在職中の厚生年金被保険加入者で老齢厚生年金の受給者(在職老齢年金)は、年金額が一部または全部支給停止となる場合があります。

※令和4年4月より、65歳未満の在職老齢年金は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超える時に支給停止される計算方法(65歳以上と同様)に緩和されました。

「年金機構 令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されます」

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-02.files/01.pdf

※令和4年4月より、65歳以上の方で在職中の老齢厚生年金保険加入者で老齢厚生年金の受給者については、毎年10月分の年金額が見直される(改定)ことになりました。これにより支給停止額が変更となる場合があります。

「年金機構 令和4年4月から在職定時改定制度が導入されます」

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0228.files/teijikaitei.pdf

まとめ

高年齢雇用継続給付を受給した場合、上記のように給付金がもらえるメリットだけでなく、年金が調整されてしまうデメリットもあります。

定年後再雇用し賃金額を決定する場合には、継続給付の支給要件と併せて年金調整についても検討されるとよいでしょう。

高年齢継続給付は雇用継続のために設けられています。

少子高齢化の現代社会で定年後の雇用につながるよう、給付金の内容や手続きについて理解しておきましょう。

高年齢雇用継続給付、在職老齢年金の支給停止によるご相談は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

人事・労務のパートナーとして、
最高の事務所を選択しませんか?

私たちは相談対応やアウトソーシングなどの
形の見えないサービスを提供しています。
それは必ずや報酬以上の
価値があるものと自負しています。
興味をお持ちの方は、
お気軽にお問い合わせ下さい。