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労働法務

2020.11.18

国籍・住所を身上調書で偽った場合、内定取消しできるか?

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採用手法 / 内定取消
ある内定者が身上調書の「国籍・住所」を偽って記載していました。「身上調書の書類に虚偽の事実を記載し、あるいは、真実を秘匿した」という就業規則の内定取消事由を根拠に内定を取り消ししようと思いますが、いかがでしょうか?

できません。

 内定取消し(解約権の行使)のが有効とされるためには、「①採用内定通知書や誓約書に記載された『取消事由』に該当する事情が発生したこと」を前提とし、「②その事情が、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものであること」が必要といわれます。

 身上を偽った場合の上記②の点の判断について、日立製作所事件(横浜地判昭49619)において「内定者に身上等の詐称の事実が存在しただけでは内定を取り消すに足りるものではない」と判断されています。

当該判例においては、「その結果労働力の資質、能力を客観的合理的にみて誤認し、企業の秩序維持に支障をきたすおそれがあるものとされたとき、又は企業の運営にあたり円滑な人間関係、相互信頼関係を維持できる性格を欠いていて企業内に留めておくことができないほどの不信義性が認められる場合に、解約権を行使することができる。」とされており、また、上記の不信義性は「詐称した事項、態度、程度、方法、動機、詐称していたことが判明するに至った経緯等を総合的に判断して、その程度を定めるべき」とされています。

 前掲判例は本件と同様に「国籍・氏名・住所・職歴」を偽った事例であったのですが、会社が重要な関心を持っていたとは考えにくいとして、内定取り消しを無効と判断しています。

 この判例の趣旨からすれば、本件においても裁判になれば会社側が敗訴する可能性が極めて高いものといえます。

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