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労働法務

2022.05.30

勤怠不良で解雇することはできるのか?

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懲戒解雇 / 解雇
半年で遅刻20回、欠勤10回を繰り返す社員がいます。遅刻、欠勤の度に口頭注意を繰り返していましたが、この度、けん責処分として始末書を提出させました。しかし、数日後、無断欠勤がありましたので、再度口頭注意を行い、再度、けん責処分として始末書を提出させました。しかし、その翌日遅刻をし、翌々日無断欠勤を行ないました。後日、社員と面談しましたが、本人に勤怠不良を改める様子が見られませんでしたので、解雇しようと思いますが、いいでしょうか?

解雇が無効とされる可能性は低いでしょう。 

勤怠不良である社員については、注意指導を繰り返し、本人に勤怠状況を矯正させる必要があります。会社は社員に対して指導教育する権限を有していると同時にその義務を負っています。この指導教育の義務を会社が果たしていてもなお、社員の矯正が難しい場合にのみやむなく解雇を検討すべきといえます。本件では、再三にわたる指導教育を繰り返していますが矯正が難しいと考えられますので、解雇の検討もやむを得ないと言えます。 

東京プレス工業事件(横浜地判昭57・2・25)では、6ヶ月間に24回の遅刻と14回の欠勤をし、上司の注意・警告を受けても改まらなかった従業員につき、「入社当初からの勤怠も不良で、上司の度重なる注意訓戒にもかかわらず、何ら改善するところがなく、将来の節度ある勤務態度を期待して始末書を提出させたが、その後も無断遅刻・欠勤を重ねたことなど・・・懲戒解雇するに至った事情を考慮すれば、本件懲戒解雇は相当である」として懲戒解雇が有効と判断されました。 

一方、共栄印刷紙器懲戒解雇事件(名古屋地判昭53・9・29)では、従業員が遅刻を繰り返したことを理由とされた懲戒解雇について、入社以来、遅刻について懲戒処分に付されたことはなかったことと、段階を踏むことなく、いきなり懲戒解雇したことを理由に当該懲戒解雇は無効と判断されました。 

勤怠不良の社員の場合、会社が注意指導することなく懲戒解雇を行なう場合には、解雇権の濫用とされる可能性が大きくなります。注意指導は、口頭注意を行なったとしても証拠化が難しいと言えますので、文書で行うことが重要です。また、懲戒処分を行うことは、裁判においては、会社が社員に対して注意指導を行った証拠と認定することになります。軽い懲戒処分を繰り返していき、なお、それでも改悛の余地がない場合に解雇を行うことが肝要です。解雇が難しい場合には、本人に対して退職勧奨を行うことも検討してください。 

勤怠不良で解雇を検討される場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「盗撮は、解雇してよいのか?」については、こちらをご覧ください。

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