労働法務
2022.09.05
反抗的な言動を行う社員にけん責処分は相当か?
- 上司に対して、呼び捨てにする、「お前」と呼ぶ、ふてくされた態度で無視する、にらむ等反抗的な態度をとる社員がいます。上司は何度も口頭で注意しました。しかし、なおる様子がないので、けん責処分として始末書の提出を命じました。いいですよね?
けん責処分は、処分として妥当です。
このような反抗的態度は、職場秩序を乱す行為であり、服務規律違反となります。上司から何度も口頭注意を受け改善されていないことは、業務命令違反になります。このような問題社員に対しては、懲戒処分することがよい方法でしょう。けん責処分で始末書を提出させることについては、何ら法に抵触することはありません。始末書の提出を拒むのであれば、それを記録に残しておいてください。教育的指導を行ったにもかかわらず、言動に変化がなければ、より重い懲戒処分を検討すべきです。
日本火災海上保険事件(東京地判平9・10・27)は、損害保険会社の社員が、自己中心的で職務に怠慢であり、上司の注意や業務命令に対して、反発して従わず、非常識な言動がみられ、さらに上司・同僚を中傷・誹謗したため解雇された事案につき、このような勤務態度等は「職場の人間関係及び秩序を著しく乱し、業務に支障を来すものと認められる」とし、就業規則上「著しく職務怠慢で勤務成績が不良な場合」に該当し、解雇が有効となった裁判例です。この裁判例の解雇が有効になったポイントは、当該社員が業務上の指示を無視した点と協調性が欠如している点が客観的に判断でき、その結果、業務上の支障が生じていることが明確であったことです。また、態度の改善を促していたにもかかわらず、当該労働者がなおも反抗的態度を示したことも挙げられます。
どうすればいいのか?
このような反抗的態度をとる社員がいると職場の雰囲気が悪化し、職場秩序が崩壊する可能性があります。反抗的態度といえる言動があった場合、会社は初動対応をどうするかが重要となります。このような言動に対しては、時間をかけずにその場で注意することが必要です。決して、見てみぬふりをしたり、様子見したりはしないことです。
上司の命令に対して、大声で食ってかかる、同僚にけんか腰になる、暴言を吐くなどの言動は、決して許されるものではありません。職場秩序が乱れることはもちろん、周囲の社員の士気低下や業務に著しい悪影響を及ぼすことになります。
言動の程度が重いようであれば、退職勧奨を検討することも選択肢のひとつです。
反抗的な言動を行う社員で悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「横領があった場合、隠蔽工作した管理者に責任をとらせて解雇は有効か?」については、こちらをご覧ください。