Tips & Hints お役立ち情報

労働法務

2022.10.31

学歴詐称が発覚した場合、懲戒解雇してよいか?

tag:
懲戒解雇 / 経歴詐称
入社2ヶ月の当社の社員が、高卒であるにも関わらず大卒と学歴を詐称していることが判明しました。 この社員を懲戒解雇しますが、よろしいですよね?

懲戒解雇は、有効とされる可能性が高いです。

高卒であるにも関わらず大卒と偽るような最終学歴の詐称は、重大な経歴詐称に当たります。

 使用者が労働契約の締結に先立ち、労働者の経歴等、その労働力の評価と関係のある事項ばかりではなく、当該企業への適応性、貢献意欲、企業の信用の保持等企業秩序維持に関係する事項について必要かつ合理的な範囲内で申告を求めた場合には、労働者は、信義則上、真実を告知すべき義務を負っています。 

 ただし、すべての経歴詐称が懲戒処分の対象となるわけではなく、真実を告知したならば採用しなかったであろう重大な経歴詐称に当たる場合に限り懲戒解雇が有効とされます 

 本件と類似の裁判例(炭研精工事件-最一小判平3・9・19)でも、「最終学歴は・・・労働力評価に関わるだけでなく・・・企業秩序の維持にも関係する事項であることは明らかであるから・・・これについて真実を申告すべき義務を有していた」としたうえで、懲戒解雇処分が有効とされています。 

 

どうすればいいのか?  

 経歴詐称に対する懲戒処分は、真実を告知したならば採用しなかったであろう重大な経歴詐称に当たるか否か慎重に検討しましょう。 

 学歴に関しては、労働力の適正な配置を誤らせる等の理由がある場合には、これに基づく解雇を有効とする裁判例が多くみられます(三菱金属鉱業事件-東京地決昭46・11・25、硬化クローム工業事件-東京地判昭60・5・24、スーパーバック事件-東京地判昭54・3・8、相銀住宅ローン事件-東京地決昭60・10・7、正興産業事件-浦和地川越支決平6・11・10など)。

 労働力の評価に重大な影響を及ぼすか否かが重要です。 

 

経歴詐称で懲戒解雇していいか悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「事実と異なる事実を外部に告発した社員を懲戒処分していいか?」については、こちらをご覧ください。

人事・労務のパートナーとして、
最高の事務所を選択しませんか?

私たちは相談対応やアウトソーシングなどの
形の見えないサービスを提供しています。
それは必ずや報酬以上の
価値があるものと自負しています。
興味をお持ちの方は、
お気軽にお問い合わせ下さい。