労働法務
2022.11.07
職歴詐称が発覚した場合、懲戒解雇してよいか?
- 入社2ヶ月の社員が、当社の業務について経験者であると虚偽の申告をして入社したことが判明しました。この社員を懲戒解雇しますが、よろしいですよね?
懲戒解雇は、有効とされる可能性が高いです。
環境サービス事件(東京地判平6・3・30)では、給排水工事についてあまり経験がなかった社員が労働契約を締結するに際し、会社に対し、給排水工事について5年の経験がありどのような仕事でもできると虚偽の申告をし、これを信用した会社が経験者として採用したが、結局その社員は仕事を十分にこなすことができなかったという事案において、即時解雇が有効と判断されています。
さらに、この裁判例では、「雇い入れをするかどうかあるいはどのような条件で雇用するかを決するための重要な判断証拠となる事項について虚偽の申告をし、・・・労働条件の決定を誤らせたものであるが、このような事情は労基法二〇条一項ただし書の労働者の責に帰すべき事由に当たる」として、解雇予告手当の支払いも不要であると判断されています。
どうすればいいのか?
経歴詐称に対する懲戒処分は、真実を告知したならば採用しなかったであろう重大な経歴詐称に当たるか否か慎重に検討しましょう。
職歴に関しては、採用の可否及びその後の労働条件に強く影響することから、解雇を有効する裁判例が多く見られます(弁天交通事件-名古屋高判昭51・12・23、都島自動車紹介事件-大阪地決昭62・2・13、立川バス事件-東京地八王子支判平元・3・7など)。
労働力の評価に重大な影響を及ぼすか否かが重要です。
経歴詐称で懲戒解雇していいか悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「学歴詐称が発覚した場合、懲戒解雇してよいか?」については、こちらをご覧ください。