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労働法務

2023.01.31

平均的能力のない社員の解雇は有効か?

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解雇
当社には平均的な水準に達していない能力不足の社員がいますが、この社員の考課順位は全社員の中で下位10パーセント未満です。これまで、指導・教育を重ね、配置転換も試みましたが、能力の向上が見られません。 当社は、解雇事由である「労働能力が劣り、向上の見込みがない」に該当すると確信して解雇しました。いいですよね?

能力が平均的な水準に達していない程度の解雇は、無効とされる可能性が高いです。 

セガ・エンタープライゼス事件東京地決平111013では本件と同種の事案について、「債権者(筆者注:社員)の業務遂行は、平均的な程度に達していなかったというほかない」としながら、結論としては解雇が無効と判断されています 

すなわち「労働能力が劣り、向上の見込みがない」について、「平均的な水準に達していないというだけでは不十分であり、著しく労働能力が劣り、しかも向上の見込みがないときでなければならない」と限定解釈しました 

そのうえで考課順位が全社員の中で下位10パーセント未満であることについて、「人事考課は、相対評価であって、絶対評価ではないことからすると、そのことから直ちに労働能率が著しく劣り、向上の見込みがないとまでいうことはできない」と判断しました 

その理由について裁判所は「相対評価を前提として、一定割合の従業員に対する退職勧告を毎年繰り返すとすれば、債務者(筆者注:会社)の従業員の水準が全体として向上することは明らかであるものの、相対的に10パーセント未満の下位の考課順位に属する者がいなくなることはありえないのである。したがって、従業員全体の水準が向上しても、債務者(筆者注:会社)は、毎年一定割合の従業員を解雇することが可能となる。」と分析して、「常に相対的に考課順位の低い者の解雇を許容するものと解することはできない」と判示したのです 

 

能力不足の社員の解雇を検討したい場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「配転・降格を行われないでなされた能力不足社員の解雇は有効か?」については、こちらをご覧ください。

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