労働法務
2023.02.27
試用期間中の能力不足社員の解雇は有効か?
- 当社には試用期間中の能力不足の社員がいます。指導・教育・研修を重ねましたが、改善が見られないため、試用期間中に本採用を拒否し、解雇としました。いいですよね?
本採用後の解雇に比べて、試用期間中の採用拒否(留保解約権の行使)は有効となる可能性が高いといえます。
試用期間は、法的には試用期間満了まで解雇する権利が付いている特殊な労働契約(解約権留保付労働契約、三菱樹脂事件―最大判昭48・12・12)であり、本採用拒否とは、この留保解約権の行使です。
日本基礎技術事件(大阪高判平24・2・10)は、寝坊で研修を受講できず、睡眠不足、集中力不足によるミスを繰り返していた社員を6か月の試用期間満了前の4か月目で解雇したことを有効としています。この裁判例では、「解約権の留保は、採否決定の当初においては、その者の資質、性格、能力その他適格性の有無に関連する事項について必要な調査を行い、適切な判定資料を十分に募集することができないため、後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保する趣旨でされるものと解されるのであって、今日における雇傭の実情にかんがみるときは、一定の合理的期間の限定の下にこのような留保約款を設けることも、合理性を有する」としながら、「留保解約権に基づく解雇は、これを通常の解雇と全く同一に論ずることはできず、前者については、後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべき」と判示されています。
能力不足の社員の解雇を検討したい場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「職務上の地位が特定された能力不足社員の解雇は有効か?」については、こちらをご覧ください。