労働法務
2023.03.23
店舗閉鎖のため、他店異動を提案。提案を拒否したアルバイトを整理解雇は有効か?
- 当社は飲食店を複数店舗経営しています。1店舗を赤字のため閉鎖することを決定し、他の店舗の異動も提案を拒否したアルバイトを整理解雇します。いいですよね?
整理解雇は、有効とされる可能性が高いです。
アルバイトとはいえ、安易に解雇ができるものではありません。整理解雇の4要件(要素)を考慮することになります。
大隈事件(東京地判平23・2・7)では、アルバイト店員に対する店舗閉鎖を理由とする整理解雇について争われました。裁判所は、整理解雇4要件(要素)を考慮し判示しています。
①人員削減の必要性については、「店舗の赤字経営が続いていることは明らかであり、店舗経営に照らすと、そのような経営判断には合理性が認められるというべきである」
②解雇回避努力義務については「会社は解雇回避措置として、売上回復のための店舗の改装・リニューアルオープンの実施、人件費削減のための人員配置の見直し、当該アルバイト店員との間で川崎労働センターでの話合いの機会の結果、アルバイト店員の希望を勘案し、元赤坂1丁目店におけるスタッフ登録をするための段取りを教示したことが認められる等から、解雇回避措置は、相当なものであったということができる」
③人選の合理性については「本件店舗に勤務するアルバイト店員全員を対象とするものであって、アルバイト店員間に差異がなく、特段の問題はない。正社員とアルバイト店員を区別して後者を優先的に整理解雇の対象とすることにも、相当の合理性がある」
④手続きの妥当性については「川崎労働センターにおける話し合いや、解雇予告通知を渡した際の説明がなされていたことが認められるのであり、特段、その手続きが妥当性を欠くものであるとは認められない」として、整理解雇を有効としました。
本件は、この裁判例に類似していますので、当該アルバイト店員については、解雇権濫用とはならないと考えられます。やむを得ず、整理解雇をする場合は、この4要件(要素)が重要となります。
整理解雇を検討したい場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「整理解雇は、どうすれば有効になるのか?」については、こちらをご覧ください。