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労働法務

2023.03.27

無期労働契約と実質的に同じ有期労働契約の雇止めは有効か?

tag:
有期 / 労働契約 / 雇い止め / 無期
当社には、2か月の有期労働契約の契約社員がいますが、この契約社員はこれまで23回更新を繰り返し、通算3年10か月となります。その契約社員の業務内容は正社員と等しく、契約期間更新の際は特に新契約書を交わすことなく、これまで契約社員で雇止めした事案はありません。このたび、経営の合理化のための雇用調整として、この契約社員を更新拒否して雇止めしました。いいですよね?

雇い止めは、無効とされる可能性が高いです。 

雇止めとは、期間の定めのある労働契約(以下、「有期労働契約」といいます。)の契約期間満了時に、使用者側の意思により有期労働契約を更新しないことです。 

本来、有期労働契約は契約期間が満了すれば終了するのが原則であり、有期労働契約の更新は新たな契約の締結なので、これを行うか否かは当事者の自由に委ねられます。しかし、有期労働契約が長期間にわたって更新されていた場合にまで、この原則を貫くのは、雇用の実態にそぐわず、労働者の保護に欠けます。そこで、裁判所は、一定の場合に、この原則を修正して労働者を保護するようになりました。 

東芝柳町工場事件(最一小判昭49・7・22)では、本件と類似の事案において、「本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件各雇止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、実質において解雇の意思表示にあたる」として、「解雇に関する法理を類推すべきである」として、雇止めを認めませんでした。なお、同裁判例を踏まえて、労契法19条1号では、反復更新された有期労働契約の雇止めが「解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できる」場合は、「客観的に合理的な理由」及び「社会通念上相当性」がなければ雇止めが認められないと定められました。 

したがって、本件の雇止めも認められず、有期労働契約が更新される可能性が高いです。 

有期契約の雇止めを検討したい場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「店舗閉鎖のため、他店異動を提案。提案を拒否したアルバイトを整理解雇は有効か?」については、こちらをご覧ください。

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