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労働法務

2023.05.09

説得を重ねた退職勧奨は違法か?

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退職勧奨
能力不足の社員に対して退職勧奨を行っています。その社員は退職に消極的でしたが、当社は、直ちに説得活動を終える義務はなく、在籍のデメリット、退職のメリット等について説明を繰り返し、再検討を求めましたが、その過程で「戦力外」と告げました。違法でしょうか?

説得を重ねた退職勧奨は、違法とされない可能性が高いです。

 本件と類似の裁判例(日本アイ・ビー・エム(退職勧奨)事件-東京地判決平231228)は、退職勧奨の対象者が退職に消極的でも、直ちに説得活動を終える義務はなく、在籍のデメリット、退職のメリット等について説明を繰り返し、再検討を求めたりすることは、社会通念上相当と認められる範囲を逸脱した態様でない限り、許容されると判示しています。前掲下関商業高校事件の第一審判決(山口地下関支判昭49・9・28)も「被勧奨者が退職しない旨言明した場合であっても、その後の勧奨がすべて違法となるものではない」と判示しています。 

 したがって、本件の退職勧奨も違法とならない可能性が高いです。 

 ただし、前掲日本アイ・ビー・エム(退職勧奨)事件では、「退職勧奨に応ずることによる有利不利の諸事情を比較検討した上で退職勧奨に応じない選択をしたこと、更なる説明ないし説得活動を受けたとしても退職勧奨に応じない意思は堅固であり、この方針に変更の余地のないこと、したがって、退職勧奨のための面談には応じられないことをはっきりと明確に表明し、かつ、被告(当該社員の上司)に対してその旨確実に認識させた段階」で、退職勧奨は「社会通念上相当な範囲を逸脱した違法なものと評価される」とも判示しています。前掲下関商業高校事件の第一審判決(山口地下関支判昭49・9・28)も「被勧奨者が二義を許さぬ程にはっきりと退職する意思のないことを表明した場合には、新たな退職条件を呈示するなどの特段の事情でもない限り、一旦勧奨を中断して時期をあらためるべきであろう」と判示しています。 

 このように、退職勧奨に応じない意思を明確に表明した場合は、それ以上退職勧奨すると違法と評価される可能性があります。 

退職勧奨を検討したい場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「優遇措置の提案のない執拗な退職勧奨は違法か?」については、こちらをご覧ください。

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