労働法務
2023.05.25
妊娠・出産等を理由とする退職勧奨は違法か?
- 当社の営業職の女性社員が妊娠しました。当社の営業職は、顧客の都合で、夜間や土・日に商談をしたり、販売ノルマを課したりするので、とても仕事と家庭の両立は困難だと考えて、出産後も仕事を続けていくことが困難はないかと退職を勧めたところ、その女性社員はしぶしぶながら最終的に納得して退職しました。違法でしょうか?
妊娠・出産等を理由とする退職勧奨は、違法とされる可能性が低いです。
均等法9条は「女性労働者が妊娠したこと、出産したこと・・・を理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」(3項)、「妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする」(4項)と定めるほか、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(平成18年厚生労働省告示第614号)では、均等法9条3項の「不利益な取扱い」として「退職・・・の強要を行うこと」を禁じています。
さらに、同指針では「勧奨退職・・・は、労働者の表面上の同意を得ていたとしても、これが労働者の真意に基づくものでないと認められる場合には、・・・「退職・・・の強要を行うこと」に該当することを示しています。
本件は、その女性社員がしぶしぶながら最終的に納得して退職したのですから、当該退職勧奨は「労働者の真意に基づくもの」として適法と評価される可能性が高いです。
ただし、「労働者の真意に基づく」か否かは極めて厳格に判断されるため、配置転換等の職務軽減措置の可否及びその内容を慎重に吟味し、当該女性社員にもその旨十分に説明し、かつその女性社員の意見、考え方も十分に聴取したうえで、退職合意書を交わすことが必要でしょう。
退職勧奨を検討したい場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「結婚を理由とする退職勧奨は違法か?」については、こちらをご覧ください。