労務管理
2021.03.11
給与から互助会費を控除できる?
- 社員同士の互助会があります。ひとり毎月1,000円を互助会費として集めたいのですが、給与から控除しても大丈夫ですか?
「賃金控除協定書」を締結すれば、給与から控除することができます。
社員にとって生活の要となる給与を確実に渡すために、労働基準法では「賃金支払いの5原則」が定められています。
- 通貨払いの原則
- 直接払いの原則
- 全額払いの原則
- 毎月1回以上払いの原則
- 一定期日払いの原則
このうち、「全額払いの原則」として、
賃金は、その「全額」を支払わなければならない、と定められています。
たとえ、社員が負担すべき費用や、社員へ貸し付けたお金の返済であっても、会社が勝手に給与から天引きすることは許されません。
ただし、「全額払いの原則」の例外として、以下の2つに該当するものについては、賃金支払い時に控除することができます。
① 所得税、住民税、社会保険料など、法令に基づくもの
②「賃金控除協定書」に記載されたもの
「賃金控除協定書」とは、
賃金支払い時に控除対象となるものを文書化し、会社と従業員代表による協定を締結したものです。「賃金控除協定書」は任意様式で作成でき、労働基準監督署へ提出の必要はありません。
作成時の注意点としては、次の2点です。
◆ 具体的に控除対象項目を決めること
◆ 控除を行う賃金支払日を各項目別に記載すること
なお、「賃金控除協定書」に記載してあっても、社員の賃金からすぐに控除できないものもありますので注意が必要です。
たとえば、給与と社員の会社に対する金銭債務を相殺しようとする場合は、「社員の自由意志に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在していること」が必要です。
また、損害賠償に伴う請求額は、信義則上相当と認められる限度についてのみ請求が可能です。
給与から控除される項目として、一般的によくあるものは、「互助会費、社宅費、寮費、社食代、駐車場代」等ですが、「賃金控除協定書」を締結せずに控除してしまっている会社が多くあります。
年度末に36協定等の更新を行うタイミングとあわせて、必要な協定書の締結ができているかどうか、あらためて見直しをしてみましょう。
互助会費の控除については、沖縄の社会保険労務士法人 堀下&パートナーズにご相談ください。