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2024.08.29

経営層・人事・総務担当者なら知っておきたい!台風による会社の休業時の給与支給やトラブル回避のための法的な対応とは?

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労務管理 / 休業手当

経営層・人事・総務担当者なら知っておきたい!台風による会社の休業時の給与支給やトラブル回避のための法的な対応とは?

台風シーズンが近づくと、企業と従業員の双方にとって休業や給与支払いに関するさまざまな問題が発生します。例えば、従業員が会社に出勤できない場合の対応や、それに伴う給与の支払い方法についての取り決めが求められることが多いです。 法人や個人事業、大企業や中小企業を問わず、労働基準法に基づく適正な対応が必要となります。 さらに、休業時には休業手当の支払い義務の発生も確認しなければなりません。 法令遵守の観点からも、各企業は明確な対応方針を持つことで、従業員に対して安心感を提供できます。特に強調したいのは、法的な側面をしっかりと理解し、適切な対応を取ることが企業の信頼性を高める重要な要素であるということです。 本記事では、台風による休業時の対応方法、給与支払いのルールなど、これらの問題に対処するための具体的な手法やポイントについて詳しく説明していきます。

台風による休業時の基本対応

台風が接近する際の休業対応について、基本的な対策を理解しておくことが重要です。企業は、台風によるリスクを事前に把握し、従業員の安全を最優先に考えることが求められます。最初に検討すべきは、公共交通機関の運行状況や気象情報の更新を密に確認し、適宜、業務の軽減やテレワークの導入を検討することです。また、従業員への迅速な情報伝達が不可欠です。内部連絡体制を整え、メールやメッセージングアプリを活用して連絡を行うことが推奨されます。さらに、企業は休業の判断基準を明確にし、予め就業規則に記載しておくことで混乱を防ぐことができます。安全第一を心がけ、従業員の無理な出勤を避け、法に基づく適正な対応を心掛けることが必要です。

休業時の連絡方法

台風時における休業の決定は迅速かつ正確に従業員へ伝達することが不可欠です。まず、企業としては、事前に連絡手段を確立しておくことが重要です。例えば、メール、電話、メッセージングアプリなど複数の連絡手段を準備しておくと良いでしょう。また、社内ポータルサイトを活用して、最新の情報をリアルタイムで更新することも効果的です。特にメールでの連絡においては、事前に全ての従業員の連絡先を最新の状態に保つことが求められます。企業からの通知には、休業の理由や期間、従業員の対応指針を明確に記載し、誤解や混乱を避ける工夫が必要です。加えて、緊急時に使用できる連絡網を作成し、上司から部下へ迅速に情報が伝わるように階層的な連絡体制を整備することが推奨されます。最後に、定期的に連絡体制の見直しや訓練を実施し、実際の緊急時にも確実に機能するよう準備しておくことが肝要です。

台風による休業時の給与支払い

台風時には業務の休止が必要になる場合がありますが、その際の給与支払いについては具体的なルールを理解することが重要です。まず、従業員が出勤できない場合の対応として複数の選択肢があります。企業側にとって重要なのは、適切な基準をもとに休業時の給与支払いを行うことです。特に注意すべきは、法令に則った対応と、従業員への公平な処遇です。そのためには、事前に規則を明確に定め、従業員に周知しておくことが効果的です。

ノーワークノーペイの原則とは?

ノーワークノーペイの原則は簡単に言えば、労働が提供されなかった場合、その分の給与は支払われないという考え方を指します。欠勤の場合も同様に、この原則が適用されることが多いです。例えば、台風で出勤できない日があれば、その日については給与が支払われないことがあります。しかし、企業側が従業員に対して休業手当を支払うことを定めている場合、ノーワークノーペイの原則は適用されません。この手当には様々な条件があるため、企業の就業規則や労働基準法を参照することが重要です。

台風による休業時の給料はどうなる?

台風による休業時の給料支払いは、いくつかの基準によって異なります。休業が法律上の不可抗力によるものである場合、労働者に対して給料を支払う義務は発生しないことがあります。具体的には、台風が原因で業務が停止し、安全確保が困難であると判断された場合、休業手当が適用されないケースが多いです。一方、個々の企業の規則や労使協定によっては、一定の補償が行われることもあります。各企業はその都度状況を見極め、適切な対応を取ることが求められます。

休業手当の支払い義務

休業手当の支払い義務については、労働基準法に明確な規定があります。休業手当とは、使用者の都合により従業員を休ませる場合(働けなかった場合)に支払われる給与の一部を指します。具体的には、平均賃金の60%以上を支払う義務が企業には課されます。ただし、台風のような不可抗力による休業に該当する場合、この手当の支払い義務は発生しないことが一般的です。それでも、企業が独自に休業手当を支払うケースも見られます。

不可抗力による休業とは?

不可抗力による休業とは、台風など自然災害により企業活動が不可能になる事態を指します。このような場合、企業は労働基準法に基づき休業手当を支払う義務を免れます。具体的には、安全確保が困難となり、従業員の出勤が危険と判断された場合が該当します。ただし、企業内部での判断基準を明確にし、従業員に適切に周知しておくことが重要です。こうした対応により、企業と従業員の間でトラブルを未然に防ぐことができます。

「使用者の責に帰すべき事由」に該当しない不可抗力の判断基準については、

(1)その原因が事業の外部により発生した事故であること

(2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてなお避けることのできない事故であることという、

上記2つの要件を満たすものでなければならないと行政解釈で示されています。

(「自然災害時の事業運営における労働基準法や労働契約法の取扱いなどに関するQ&A」令和3年7月15日)

休業手当がもらえる場合は?

休業手当とは、使用者の都合で従業員が働けなかった際に支払われるものです。例えば、企業の設備故障や経営上の理由で休業が発生した場合、従業員は労働基準法に基づいて休業手当を受け取ることができます。具体的には、平均賃金の60%以上が支払われる必要があります。台風が原因であっても、企業が独自の判断で休業を決定した場合には、休業手当が適用されるケースがあります。いずれにせよ、従業員と企業間での透明性と信頼関係が必要です。

有給休暇として処理することは認められるのか?

台風によって店舗を臨時休業としたり、仕事を休みとし、その休業を年次有給休暇として処理するかどうかは、企業の規則や従業員との合意に基づくことが一般的です。法的には、使用者が一方的に有給休暇を使用させることはできません。しかし、従業員が有給休暇を希望する場合、それに応じることが可能です。この場合、企業は休業の理由や有給の使用について、明確な基準を設けておくことが推奨されます。また、従業員からの申請手続きを簡潔化し、スムーズに対応できる仕組みを整えておくことも大切なポイントと言えます。

ケース別に見る台風時の給与支給について

台風時には様々な状況が発生し、その状況ごと、会社ごとに給与の支給ルールも異なってきます。企業は従業員に対する公平な対応を心がける必要がありますが、個別の状況ごとに異なる法的な判断や慣行に基づいて対応方法を検討する必要があります。以下では、主なケースごとに給与支給の考え方を詳述します。

交通機関が止まった場合

台風により交通機関が停止し、従業員が出勤できなくなることがあります。この場合、交通機関が止まったこと自体が不可抗力と認定されやすいですが、企業は事前に通勤手段の多様化を促すなどの対策を取ることが求められます。交通機関の停止が原因で欠勤となった場合、一般的にはノーワークノーペイの原則が適用されることが多いです。しかし、企業方針として給与が支払われるケースや、特別休暇として処理する場合もあります。そのため、各企業は独自の規則に基づいてケースバイケースで対応します。

屋外業務が困難な場合

台風の影響で屋外での業務が安全に行えなくなることがあります。このような場合は、企業としては従業員の安全を最優先に考え、屋内業務への振り替えやテレワークの導入を検討する必要があります。仮に屋内業務もテレワークも難しい場合、企業は正式に休業を検討することが適切でしょう。なお、休業が避けられない場合は、各企業の業態、休業となる従業員の業務内容、出勤に伴う危険性や従業員の安全確保が可能であるかを考慮して休業手当の支払いの必要性を判断することになります。

会社の判断で休業となった場合

会社の判断で休業が決定された場合、基本的には労働基準法に基づき、従業員に対して休業手当が支払われます。企業は、休業の理由や期間を明確にし、従業員に速やかに通知することが重要です。休業手当は通常、平均賃金の60%以上を支払うことが義務付けられています。企業は、従業員が安心して休業できる環境を整えるために、明確かつ適正な情報伝達を行うことが求められます。

台風による客足減少が理由の休業の場合

台風の影響で客足が減少し、営業活動が困難になることも少なくありません。このような場合、企業は客足減少を理由に休業を決定することができます。ただし、これは労働基準法に基づく休業手当の支払い義務が発生する場合があります。影響が一時的である場合、短期間の休業で対応することも考えられます。また、事前にこうした状況に備えた対策を講じておくことも重要です。

台風のため従業員を出社させることが難しい場合の対処法

台風の影響で従業員が出社できない場合、企業は欠勤とするか特別休暇を提供するかの判断を行います。欠勤とする場合は、ノーワークノーペイの原則に従い、その日の給与は支払われません。しかし、企業によっては特別休暇や有給休暇の使用を認める場合もあります。

また、台風の影響により予期せぬ事情が生じた場合や、やむを得ない事由によって休まざるを得ないケースも考えられます。営業するには支障はない場合でも、公共交通機関は停止していて従業員に出勤を命じるのは酷であろうといったケースも考えられます。たとえ営業したとしても、多くの方が外出を控えている状況ではお客さんもこないでしょう。

万一、ムリに出勤をさせて通勤途中でケガをしてしまうような事態も避けたいところです。会社としても、会社都合の休業扱いとなることで休業手当の支払いになるのは避けたいという事情も考えられます。

そのような場合に、休日の振替という選択肢を検討する可能性も考えられます。

台風がやってくる日を臨時休業にして、元々お休みの予定だった日に出勤をお願いしてあらかじめお休みを振り返るということです。その場合は、休業手当は必要ありませんし、従業員も台風時の出勤を回避することが可能となります。

なお、休日の振替を行う場合には、次の点に注意が必要です。

 ・就業規則に、休日を振り替えることができる旨が規定されている。

 ・休日の振替の前に、あらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えを行う

 ・休日の振り替えをした場合でも、1週間に1日の休日が確保できるようにする

 ・休日の振り替えをしたことにより、1週あたりの労働時間が40時間を超える場合には割増賃金を支払う

これらを検討することにより、台風時の対応を円滑に進めることが可能となります。

台風時の出社命令は認められる? 使用者の安全配慮義務とは。

台風が接近している状況での出社命令については、企業側の対応が重要です。使用者には従業員の安全を最優先に考える「安全配慮義務」があります。この義務は、労働契約法第5条に明確に示されており、従業員の健康や生命を保護するための措置を取ることを求めています。具体的には、台風時には出社のリスクを避けるため、テレワークの導入や事前の休業決定が推奨されます。特に公共交通機関が停止している場合、無理に出社を求めることは法的なトラブルを招く可能性があります。さらに、企業は従業員の安全のために、台風時の対応ガイドラインや避難計画を事前に整備し、全従業員に周知することが求められます。これにより、従業員が安心して指示に従うことができ、企業の信頼性も向上します。使用者は法令遵守と安全配慮を両立させることで、企業全体の安全文化を醸成することができます。

まとめ

台風時における企業と従業員の対応は、多岐にわたりますが、基本的には「安全第一」を優先することが最も重要です。企業側は、休業の判断基準を明確にし、迅速かつ適切に情報を伝達する仕組みを構築することが求められます。特に、労働基準法に基づく休業手当の支払いや、ノーワークノーペイの原則など、法的な側面をしっかり理解する必要があります。従業員の安全を確保するためには、テレワークや特別休暇の導入など、柔軟な対応が求められます。また、台風による客足減少や交通機関の停止が理由での欠勤に対しても、公正かつ透明性の高い対応が望まれます。企業が従業員の信頼を得るためには、事前の準備と情報共有が不可欠です。総じて、企業と従業員が一体となり、安全で効率的な労働環境を維持するための努力が必要です。

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