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労働法務

2021.06.09

休憩時間中に来客・電話対応した場合は、労働時間か?

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労働時間 / 休憩時間
当社では、昼休み時間中に、居合わせた社員に来客・電話対応をしてもらっています。これって労働時間でしょうか?

はい。労働時間です。

残業代の支払いが必要となる「労働時間」について、裁判例(三菱重工業長崎造船所事件-最一小判平1239)は、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と客観的に定義して、「労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」と判断しています。そして、この「使用者の指揮命令」は明示の指示のみならず黙示の指示も含まれています。

そして、仮眠時間の労働時間性が争われた事件ではありますが、過去の裁判例(大星ビル管理事件-最一小判平14228)では、「不活動仮眠時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる」とし、「不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たる」と判断しました。

そうだとすると、休憩時間中に来客や電話対応のために社員を待機させている場合には、労働からの解放が保障されていないため、その待機している時間(形式上「休憩時間」とされている時間)も「労働時間」に該当します(昭2347基収1196号も同旨)。

なお、過去の裁判例(京都銀行事件-大阪高判平13628)では、休憩時間中に来客や電話対応させていた時間の労働時間性を否定したものもあるが、「従業員は午前11時から午後2時までの間に60分間業務に支障のないよう交替して休憩時間を取るものとしていた」「昼の休憩時間については、従業員が支店から外出できるのは行先を届け出て承認された場合に限られていたが、それは顧客が来店したときや顧客から電話があったときの便宜(担当者しか分からないこともあるので、昼休みにも連絡が取れるようにするため)であった」「従業員は、基本的に2階の食堂を利用するなどして休憩を取っていた」「従業員が顧客の来訪や電話に対応することがあったとしても、それが常時のことであったまで認めるに十分な証拠はない」など、当該事案の特殊性によるものであり、一般論化することは困難でしょう。

 

 休憩時間中に来客・電話対応等のために社員を待機させる必要がある場合、労働時間等の規制の適用を受けない管理監督者を待機させるか、休憩を交代制にして常に休憩時間外の者が来客電話対応できるようにしておくべきです。

ただし、休憩時間については、適用除外の業種(運輸交通業、金融・広告業等)を除き、原則として一斉に与えなければならず(労基法34条2項本文)、休憩の交代制を採用するためには、休憩の交代制を盛り込んだ労使協定を交わす必要があります(労基法34条2項但書)。さらに、就業規則にその旨を盛り込んだ規定を完備しておく必要があります。

休憩時間中に来客・電話対応した場合の労働時間については、沖縄の社会保険労務士法人 堀下&パートナーズにご相談ください。

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