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労働法務

2023.06.14

懲戒解雇にした社員の退職金を不支給として良いか?

tag:
懲戒解雇 / 退職金
非違行為をした社員を懲戒解雇処分にしました。就業規則「懲戒解雇の場合は退職金の全部または一部を不支給とする」の規定により、当該社員には、退職金を支給しませんでした。いいですよね?

懲戒解雇にした社員の退職金を不支給は、無効とされる可能性が高いです。 

懲戒解雇に該当するかの判断基準と退職金不支給の判断基準は分けて考える必要があります。たとえ「懲戒解雇の場合は退職金の全部または一部を不支給とする」との就業規則があったとしても、退職金の全額不支給は無効と判断される場合があります。 

トヨタ工業事件(東京地判平6628)では、退職金の不支給が認められるかについて「退職金の全額を失わせるような懲戒解雇事由とは、労働者の過去の労働に対する評価をすべて抹消させてしまう程の著しい不信行為があった場合でなければならない」との判断基準をとっています。 

よって、本件では、非違行為の内容にもよりますが、「労働者の過去の労働に対する評価をすべて抹消させてしまう程の著しい不信行為があった場合」でなければ、退職金の不支給は無効になるといえます。仮にこの非違行為の内容が多額の横領等であれば、退職金の不支給は著しい不信行為として認められる可能性が高いといえます。 

 

どうすればいいのか?

 本件では、退職金が全額不支給であることが問題となります。前述したとおり、「労働者の過去の労働に対する評価をすべて抹消させてしまう程の著しい不信行為があった場合」でなければ退職金の不支給は認められません 

 「著しい不信行為」以外の非違行為に伴う退職金については、減額という形で対応するのが妥当と判断します。だだし、減額についても、上記裁判例の判断により、制限なく行うと無効とされる場合があります。減額する額については、当該非違行為並びに懲戒処分の内容との均衡性を考慮し、事案ごと慎重に検討することになります。 

 

懲戒処分した社員の退職金の額を検討したい場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「退職勧奨を有効にするポイントは?」については、こちらをご覧ください。

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