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労働法務

2020.12.17

経済状況の悪化で、内々定の取消しはできるか?

tag:
採用手法 / 内定取消 / 損害賠償
採用面接の最終選考後に合格を言い渡した志望者に対して、「経済状況が悪化したので、合格を取消す」との通知をしたいのですが、いかがでしょうか?

裁判になれば、会社が負ける可能性が高いです。

コーセーアールイー事件(福岡高判平23310)においては、内々定の後に正式に採用内定通知が授与されることが予定されていたことを捉え、「本件内々定については、始期付解約権留保付労働契約としてこれが成立したものとは認められない」と判断しています。

他方で、内々定についても無限定に取消しが認められるわけではありません。労働契約が成立していないとしても、信義則違反として不法行為による損害賠償の余地があり得るからです。

前掲判例は、会社側が「経済情勢の悪化」を理由として内々定の取消しを行った事例ですが、「経済情勢の悪化という事態は…以前から存した事情であり、…早い段階で担当者等を通じて…その取消しの可能性がある旨伝えるなどして…これによって受ける不利益を可能な限り少なくする方途を講じるべきであった」としたうえで、「そのような措置をとらずに、…突然に内々定取消しを行ったものであるところ、…そのような対応がやむをえない経営判断に基づくものであるということはできない」とされ、応募者からの会社に対する損害賠償請求が認められています。

 この判例の趣旨からすれば、本件においても裁判になれば会社側が敗訴する可能性が高いものといえます。

 

上記の判例の趣旨からして、内々定においても「労働契約の予約」などとして、一定の拘束力が生じ、一方的かつ不合理な破棄が損害賠償を発生させることについては、十分に注意すべきです。

前掲判例においては「取消を招く事由が生じてから、会社がそれを漫然と放置していたこと」も損害賠償を発生させる一因です。従って、損害賠償のリスクを少しでも低減させるためには、内々定を出した応募者と、密に連絡を取り、内々定取消しの可能性が生じた場合には、早期に再度の就職活動を容認する旨を連絡するなどの措置を講ずることが大切です。

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