労働法務
2021.01.19
強制された研修の時間は、労働時間なのか?
- 業務に関連する研修をするのですが、これは労働時間でしょうか?
はい。業務に関連する研修の時間は、労働時間です。
残業代の支払いが必要となる「労働時間」について、三菱重工業長崎造船所事件(最一小判平12・3・9)は、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と客観的に定義して、「労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」と判断しています。そして、この「使用者の指揮命令」は明示の指示のみならず黙示の指示も含まれています。
行政解釈では、就業時間外の教育訓練への参加時間が労働時間に当たるか否かについて、「参加することにつき、就業規則上の不利益取扱による出席の強制がなく、自由参加のものであれば、時間外労働にはならない」とする見解が示されています(昭26・1・20基収2875号、平11・3・31基発168号)。この行政解釈からすると、自由参加型であれば、研修時間は「労働時間」では、残業代の支払いはいりません。
しかしながら、業務との関連で出席を義務付けたり、業務遂行上必要不可欠で出席を余儀なくされたりする場合は「労働時間」になります。また、不参加により就業規則上の制裁(懲戒処分や人事考課上のマイナス査定など)がある場合も「労働時間」になります。
ご相談の件は、内容が業務に関連する技能を習得させるものであり、この時間が「労働時間」と評価されます。
WEB学習の時間の労働時間性が争われた裁判例(NTT西日本ほか(全社員販売等)事件-大阪地判平22・4・23)も、その内容が業務と密接に関連すること、上司がチャレンジシートにおいて明示的にWEB学習によるスキルアップを求めていることなどから、WEB学習は会社の業務上の指示によるものであって「労働時間」であるとしました。
強制された研修の時間は労働時間なのかについては、沖縄の社会保険労務士法人 堀下&パートナーズにご相談ください。