労働法務
2021.06.01
QCサークル活動・行事の時間は労働時間か?
- 当社では、QCサークル活動、行事は、自由参加としています。これは、労働時間でしょうか?
いいえ。労働時間ではありません。
残業代の支払いが必要となる「労働時間」について、裁判例(三菱重工業長崎造船所事件-最一小判平12・3・9)は、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と客観的に定義して、「労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」と判断しています。そして、この「使用者の指揮命令」は明示の指示のみならず黙示の指示も含まれています。
行政解釈では、就業時間外の教育訓練への参加時間が労働時間に当たるか否かについて、参加することにつき、就業規則上の「不利益取扱による出席の強制がなく、自由参加のものであれば、時間外労働にはならない」とする見解が示されています(昭26・1・20基収2875号、平11・3・31基発168号)。
この行政解釈からすると、ご相談内容のような、就業規則上の制裁(懲戒処分や人事考課上のマイナス査定など)がなく自由参加型であれば、QCサークル活動や社員旅行などの会社主催の行事の時間は「労働時間」ではなく、残業代の支払いはいりません。
ただし、過去の裁判例(国・名古屋労基署長(トヨタ自動車)事件-名古屋地判平19・11・30)では、QCサークル活動等の参加状況が人事考課の考課要素とされていたり、その活動が全社的な規模で組織・運営され、その内容が業務に反映されると賞金や研修助成金が支払われるなど事業活動に資する面が大きく、また、会社上層部からも評価されているなどから、QCサークル活動等も、労災認定の業務起因性の判断において「労働時間」と評価されました。
したがって、QCサークル活動や会社主催の行事も、参加しなければ業務上の支障が生じる場合(そのような活動・行事の中で事実上業務上の指示や会議が行われている場合など)やQCサークル活動や会社主催の行事の参加の有無が人事考課の対象となっている場合は、その参加時間も「労働時間」として残業代の支払いが必要となります。
QCサークル活動・行事の時間の労働時間については、沖縄の社会保険労務士法人 堀下&パートナーズにご相談ください。