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労働法務

2022.08.01

協調性欠如で社員を解雇することができるか?

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解雇 / 協調性
協調性が欠如した社員がいます。嫌いな人に対して、無愛想で攻撃的な言動をし、頻繁にトラブルを起こします。会社の業務遂行が非常に困難になっています。就業規則の「協調性を欠き、他の従業員の業務遂行に悪影響を及ぼすとき」に該当するとしてこの社員を解雇しました。いいですよね?

解雇無効とされる可能性が極めて高いです。 

 大和倉庫事件大阪地判平498)は、協調性欠如による解雇が無効と判断された裁判例です。この裁判は、摩擦・衝突が絶えない従業員への協調性の欠如や会社の経営方針に対して批判的であることなどを理由に解雇の有効性争われました。裁判所は「会社は、当該従業員及び他の従業員に対し、適宜、指導・注意等を加えることにより、これを未然に防止し、解雇という重大な事態に陥ることを可能な限り回避すべき立場にあると解すべきところ、態度を改善するよう注意等を与え、人間関係の調整・修復を図って努力した形跡は窺われない。当該従業員の性格的欠点が会社の業務遂行に著しい支障をきたし、また会社の努力によっても当該従業員の欠点を矯正することができず、従業員間の人間関係が修復不可能であるため、当該従業員を解雇することが真に止むを得ないものとまで言うには尚早というべきであり、現段階では、本件解雇は、解雇権の濫用にあたる」と判断しました。 

 本件についても、指導教育がないままの解雇は避けるべきです。 

 

どうすればいいのか? 

 会社の多くは社員同士の共同の場で業務が行われるので、協調性欠如により、業務や業績等に重大な支障が生じることが想定されますしかし就業規則の解雇事由に該当することだけを理由に解雇はできません。 

 まずは上司や先輩社員からの適切な教育や指導を行うことが重要といえます。この場合は、「注意書」、「厳重注意書」、「懲戒処分書」などを発行して、具体的に協調性の欠如への対策を書面化して分からせると良いでしょう。これに対して反抗的な態度をとったり、改善されなければ、軽い懲戒処分から重い懲戒処分へと段階的に処分を行います。 

 さらに教育的指導をするも改善が見受けられないといった客観的情報があれば解雇が有効と判断される可能性が高くなります。それでもなお、改善の余地がなければ退職勧奨を行い、あくまで最終手段として解雇を選択することになります 

 

 協調性の欠如した社員で悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「健康診断を拒否されてしまった。強制することはできるのか?」については、こちらをご覧ください。

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