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労働法務

2022.08.08

兼業で懲戒解雇していいのか?

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懲戒解雇 / 兼業
当社のある女性社員Aが、会社に無断で、キャバレーでバイトをしていることが発覚しました。その者曰く、当社の勤務が終わった後、午後6時から午前0時までキャバレーで主に会計係として働いていたとのことです。これは、当社の就業規則に存在する「会社の承認を得ないで在籍のまま他に雇われたとき」という懲戒事由に該当するため、社員Aを懲戒解雇処分としました。いいですよね?

懲戒解雇が無効とされる可能性は低いです。 

 本件においては懲戒処分を行うについての「①事実の確認」「②法的評価(懲戒事由該当性の検討)」「③処分の重さの検討」のうち「③処分の重さ」が問題となっているものです 

本件のように会社に無断で他の職業に就業することを「兼職」といいます。「兼職」を理由とする懲戒処分(懲戒解雇)の有効性の検討の際には、「当該従業員が会社において果たしていた役割および業務の性質」そして「兼職先および兼職している職務の性質(特に、競業にかかるものであるか)」によって、その判断枠組みが異なってくることになります。本件を具体的に見てみれば、「社員は貴社において単なる事務員」でありまた「兼職先もキャバレーと貴社と競合する業種ではなく」「職務としても会計係をしていたにすぎません」から当該社員の兼職は理論的には「私生活上の行為」としてある程度自由に認められるべきものとも思えます。 

しかしこのような場合にもその者に無限定な自由が与えられるわけではありません。本件と類似の裁判例(小川建設事件-東京地決昭571119)、「(労働者の)の兼業の職務内容は、債務者の就業時間とは重複してはいないものの、軽労働とはいえ毎日の勤務時間は六時間に互りかつ深夜に及ぶものであつて、当該兼業が債務者への労務の誠実な提供に何らかの支障をきたす蓋然性が高いものとみるのが社会一般の通念であ」るとして懲戒解雇を有効と判断しました。 

すなわち競業にかからない兼職についても、会社に対する労務提供に支障をきたす程度の長時間にわたれば、懲戒解雇が有効になる可能性が高いのです。 

 このように、裁判例は「会社の職場秩序に影響を及ぼすか、会社に対する労務提供に特別の支障を生じさせるか否か」によって、その兼業を理由とする懲戒解雇の有効性を判断しようとしている、といえます。 

 

兼業で解雇が有効かどうか悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「協調性欠如で社員を解雇することができるか?」については、こちらをご覧ください。

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