労働法務
2022.09.12
業務命令に従わない社員にけん責処分は妥当か?
- 上司が業務の指示や命令をしても「このやり方は私には合いません」や「もっとベストなやり方があると思うので承知できません」などと主張して、我流で業務を遂行する社員がいます。会社としては業務命令を軽んじている言動として重く受けとめています。けん責処分としましたが、いいですよね?
けん責処分は、処分として妥当です。
会社には業務命令権があります。業務命令権は、労働契約によって、労働力の処分権を使用者に委ねたことによって、会社が取得する基本的な権限です。また、会社は労務の指揮にとどまらず、業務の遂行全般について社員に対し必要な指示・命令を発することができます。この業務命令が就業規則の合理的な規定に基づく相当な命令である限り、社員はその命令に従う義務があります。
本件では、上司が指示した指示・命令を拒否しているもので、業務命令違反として、譴責処分することは可能です。
電電公社帯広局事件(最一小判昭和61・3・13)は、指定医への受診命令拒否に対する戒告処分を有効、大和銀行事件(東京地判平2・12・21)は、会社の寮勤務員同士のトラブルにかかわる行為や正当な理由がないのに就業規則の定めどおりに出勤簿の捺印をしなかったこと、再三にわたって舎監の指示命令に従わず強調を欠く行為に終始したこと等を理由としてされた戒告処分を有効、NTT(年休・差戻審)事件(東京高判平13・11・28)は、研修期間中に年休を申請し、時季変更権が行使されたにもかかわらず、これに従わず欠勤したことを理由とする譴責処分を有効としました。
本件について、譴責処分後も業務命令違反が続けば、減給処分や出勤停止処分など段階的に重い処分を行います。それでも更正の見込みがなければ退職勧奨や普通解雇、最終手段として懲戒解雇を検討していくことになります。
業務命令に従わない社員で悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「反抗的な言動を行う社員にけん責処分は相当か?」については、こちらをご覧ください。