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労働法務

2024.05.24

労働時間

tag:
労働時間 / 残業

●使用者の指揮命令下に置かれた時間

労働時間の定義

 労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」(三菱重工業長崎造船所事件 最判平12.3.9)です。同裁判例は、労働時間は、「労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」と判示しています。

 「使用者の指揮命令」とは、明示の指示のみならず、黙示の指示も含まれています。明示とは、意思を明らかに示すことをいい、黙示とは、状況などにより間接的に意思表示とみなされることをいいます。

黙示の指示による残業

上司が部下に「残業せよ」と明示の指示をしていなくても、部下が残業していた場合、黙示の指示をしたとして「使用者の指揮命令下」とみなされ、労働時間として残業代支払いの義務が生じます。

たとえダラダラ残業も、会社がこれを知った上で放置(黙認)していれば、少なくとも「黙示の指示」によって会社の指揮命令下にあったと評価され、残業代の支払いが必要となる「労働時間」になります。

 残業は本来、業務命令で行わせるものです。無許可で残業をさせるべきものではありません。漫然と残業させることは厳に戒めるべきものです。

 職場に残って業務と関係ない私的なことをしているのであれば、黙認するのではなく、帰宅を促してください。

労働時間と滞留時間の法的意味

「労働時間」は、「所定労働時間」+「所定外労働時間(残業)」です。「会社に来た時刻」から「仕事を始めた時刻」までの時間を「滞留時間」と言います。「仕事が終わった時刻」から「会社から帰った時刻」までの時間も「滞留時間」です。タイムカードは、「会社に来た時刻」と「会社から帰った時刻」を記録しています。

 賃金支払い義務が生じるのは、「労働時間」です。「滞留時間」に賃金支払い義務はありません。「労働時間」と「滞留時間」を区別して管理する義務があります。

 「労働時間」と「滞留時間」を区別する義務は会社にあります。タイムカードでは、この区別が困難です。残業申請制度やカード式・生体認証式の勤怠のデジタル管理等により2者を厳格に区別管理する必要があります。

労働時間の証拠

 会社は、労働時間を管理する義務を有しています。前述の滞留時間に対して賃金を支払わない場合には、その証拠を会社が示す必要があります。証拠が示せない場合には、滞留時間も労働時間と看做され賃金、残業代を支払うリスクが発生します。  残業時間の証拠として、労働者側から提出された証拠には下記のようなものもあります。労働時間管理は厳格に行う必要があります。

労働時間については、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズへお問い合わせください。

「年次有給休暇」については、こちらをご覧ください。

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