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労働法務

2022.09.21

残業は強制できるか?

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残業
残業命令を拒否する社員がいます。「所定労働時間のみ労働すればよく、残業命令には応じる義務はない」と主張します。会社は、36協定の締結及び労働基準監督書への届け出と就業規則では時間外労働の命令ができる旨を定めています。会社は本人に対して、何度となく説諭しましたが聞き入れません。 残業は強制できるのでしょうか?

残業は、強制できます。 

残業命令をさせる前提として、法定労働時間(原則、1日8時間週40時間)を超えて時間外労働をさせる場合は、労基法36条の労使協定(36協定)を締結し、これを労働基準監督署に届け出ることが必要です。 

ただし、この36協定は協定範囲内で時間外労働をさせたとしても労基法に抵触しないという免罰効果だけで、労働者に時間外労働を義務付けることは別問題となります。労働者に時間外労働を義務付けるためには、就業規則等に「会社は業務の必要性がある場合には、所定労働時間外に労働を命じることができる」等規定することが要件となります。 

日立制作所武蔵工場事件(最一小判平31128)では「労働協約あるいは就業規則に36協定の範囲内で一定の業務上の理由があれば時間外労働をさせることができる旨を定めているときは、当該就業規則の規定内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなし、労働者は時間外労働をする義務を負う」と判示しました。 

本件は、36協定の締結及び労働基準監督書への届け出と就業規則の規定(時間外労働命令)の要件を満たしていますので、労働者に時間外労働を命ずることができ、労働者がこれを拒否した場合は業務命令違反となります。 

よって、会社は社員が時間外労働命令に従わない場合はその具体的な理由を確認して、正当な理由がない場合は業務命令違反として注意・指導をすることになります。その後、改善がみられない場合は、まずはけん責程度の軽い懲戒処分を行い、さらに改善されない場合は、段階的に懲戒処分の程度を上げていくことです。 

 

残業は強制できるか悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「業務命令に従わない社員にけん責処分は妥当か?」については、こちらをご覧ください。

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