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労働法務

2022.11.14

犯罪歴があったことが発覚した場合、懲戒解雇してよいか?

tag:
犯罪歴 / 経歴 / 懲戒解雇
入社2ヶ月の当社の社員が、犯罪歴があることが発覚しました。履歴書にも犯罪歴なしと申告していました。この社員を懲戒解雇しますが、よろしいですよね?

懲戒解雇は、無効とされる可能性が高いです。 

 マルヤタクシー事件(仙台地判昭60・9・19)では、「犯罪者の更生にとって労働の機会の確保が何をおいてもの課題である」ことを強調して、「既に刑の消滅した前科といえどもその存在が労働力の評価に重大な影響を及ぼさざるをえないといつた特段の事情のない限りは、労働者は使用者に対し既に刑の消滅をきたしている前科まで告知すべき信義則上の義務を負担するものではないと解するのが相当であり、使用者もこのような場合において、消滅した前科の不告知自体を理由に労働者を解雇することはできない」と判断されています。 

 したがってその前科がその労働力の評価に重大な影響を及ぼす場合(顧客から金員を預かる業務にありながら過去に横領罪の前科があった場合など)でない限り前科の詐称を理由に解雇することはできません。 

 

どうすればいいのか?  

 経歴詐称に対する懲戒処分は、真実を告知したならば採用しなかったであろう重大な経歴詐称に当たるか否か慎重に検討しましょう。 

 犯罪歴に関しては、有罪判決を受けて間もない場合ないし公判中である場合の秘匿に関する事案については告知義務を肯定する傾向にありますが(国鉄大阪鉄道管理局事件-大阪地判昭51113、日本農薬事件-佐賀地判昭51917、日本カニゼン事件-東京地判昭53320)、前掲裁判例の既に刑の消滅した前科(刑期終了、執行猶予期間満了、起訴猶予など)や非行歴(西日本警備保障事件福岡地判-昭49815)は告知義務を否定する傾向にあります。

労働力の評価に重大な影響を及ぼすか否かが重要です。 

 

経歴詐称で懲戒解雇していいか悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「職歴詐称が発覚した場合、懲戒解雇してよいか?」については、こちらをご覧ください。

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