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労働法務

2022.11.22

社員が傷害容疑で逮捕された場合、懲戒解雇してよいか?

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懲戒解雇 / 傷害
社員が傷害の容疑で逮捕されました。社員を懲戒解雇しました。よろしいですよね。

懲戒解雇は、無効とされる可能性が高いです。

 「何人も法律の定める手続きによらなければその生命若しくは自由を奪われ又はその他の刑罰を科せられない」(日本国憲法31条)「被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。」(刑事訴訟法336条)とされます。刑事手続においては、有罪判決が確定するまでは無罪が推定されます。(推定無罪の原則) 

 逮捕された事実だけで解雇、その他の懲戒処分を行うことに関してはリスクを伴います。 

 ただし、「当該行為の性質、情状のほか、会社の事業の種類・態様・規模、会社の経済界に占める地位、経営方針及びその従業員の会社における地位・職種等諸般の事情から綜合的に判断して、右行為により会社の社会的評価に及ぼす影響が相当重大であると客観的に評価される場合」(日本鋼管事件-最判昭49・3・15)に該当する事実認定を会社が行うことが可能であれば、刑事手続きにおける有罪判決と別に懲戒処分を行うことは可能です。 

 

どうすればいいのか? 

 有罪判決が確定するまでは、懲戒処分を行わないことがリスクを少なくする方法です。この場合、判決が確定するまで社員に対して起訴休職と呼ばれる休職を命じる方法があります。ただし、起訴休職命令が有効と判断されるためには、「職務の性質、公訴事実の内容、身体拘束の有無など、諸般の事情に照らし、起訴された従業員が引き続き就労することにより、被告の対外的信用が失墜し、又は職場秩序の維持に障害が生ずる恐れがあるか、あるいは当該従業員の労務の継続的な給付や企業活動の円滑な遂行に障害が生ずるおそれがある場合でなければならず、また、休職によって被る従業員の不利益の程度が、起訴の対象となった事実が確定的に認められた場合に行われる可能性がある懲戒処分の内容と比較して明らかに均衡を欠く場合でないことを要する」(全日本空輸事件-東京地判平11・2・15)とされています。 

 逮捕され本人が容疑を否認している場合であっても、本人に対して退職を勧奨することは違法なことではありません。本人の自由意思で退職届を提出してもらうことを提案することも解決策の一つと言えます。もちろん、強制することはできませんので、退職勧奨についても本人が拒否するのであれば、休職などの措置を検討することになります。

社員が傷害容疑で逮捕された場合の懲戒解雇については、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「犯罪歴があったことが発覚した場合、懲戒解雇してよいか?」については、こちらをご覧ください。

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