労働法務
2023.05.30
解雇有効とだましてした退職勧奨は違法か?
- 当社の社員が横領をした疑いがありますが、顧問弁護士から確たる証拠がないため懲戒解雇はできないと助言されたため、解雇ではなく退職勧奨を行うことにしました。 退職勧奨では、懲戒処分ができるかのように述べたうえで退職を迫ったところ、その社員は退職に応じました。違法でしょうか?
解雇有効とだましてした退職勧奨は、違法とされる可能性が高いです。
群馬町(辞任強要)事件(前橋地判平16・11・26)では、「懲戒免職処分にできない事案であるか、懲戒免職処分相当かどうかの調査が尽くされていない事案であるにもかかわらず、懲戒免職処分をすることができるかのように述べた上、それを前提として、自白して降格、減給及び配置換えを甘受するか、自ら辞職するかの選択を迫った」という事案において、当該退職勧奨を「社会的に許容される限度を超えてされた自白及び辞職の要求行為であったといわざるを得ず、・・・不法行為である」と判示されています。
したがって、懲戒処分ができない事案であるにもかかわらず、懲戒解雇できるかのように装って退職を迫る退職勧奨は違法と評価される可能性が高いです。
退職勧奨を検討したい場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「妊娠・出産等を理由とする退職勧奨は違法か?」については、こちらをご覧ください。