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労働法務

2023.06.07

退職勧奨を有効にするポイントは?

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退職勧奨 / 退職金 / 退職功労金

まず、退職勧奨を行う面談担当者を教育することです。退職勧奨面談のための教育においては、不当な退職勧奨の例を列挙されたものを学習する、退職勧奨の際の不当な文言の具体例を学習することも有効です。退職勧奨を行うのであれば、事前に想定問答集を作成することが有効です。退職勧奨を行うにあたって様々な質問に対する答えを用意し、あらゆる場面を想定し、第2、第3の提案策まで準備しておくことが大切です。チャート図により整理することも有用です。会社側がこのように言った場合、労働者はこのような反応を示すだろう。その場合にはこのように回答しよう。そうでなければ、このように回答しよう。様々なパターンを想定し、対応を事前に作り上げておきます。 

 次に、退職勧奨において、重要となるのが優遇措置です。優遇措置を準備することなく退職勧奨の交渉に臨むから脅迫などの不当な退職勧奨に陥る確率が高くなります。退職勧奨を行う場合には、必ず優遇措置を事前に準備してください。 

 では、どのような優遇措置が考えられるでしょうか。以下に代表的なものを列挙します。 

1 割増退職金 
2 退職功労金(基本給の○カ月分) 
3 年次有給休暇の買い上げ 
4 転職先が見つかるまでの雇用契約の延長 
5 失業保険の特定受給資格者の説明 

 割増退職金とは、退職金がある場合であって、希望退職を募る際に取り扱います。会社の体力との兼ね合いがありますが、労働者が応じやすい金額を設定することが有効です。 

 退職功労金とは、退職金制度の規定がない場合に活用します。名称にこだわる必要がありません。金額の多寡がどのようになるかが労働者が最も気になる部分です。解雇予告手当との均衡を考えると給料の1カ月分は最低準備したいものです。給料の1カ月分退職功労金として準備する場合としない場合では、退職勧奨の成功確率が全く異なります。最低でも1カ月分は準備することを強く推奨します。2カ月分、3カ月分と増額する方が成功確率が高まります。 

 年次有給休暇は退職時に請求されれば当然に与えなければなりません。そうであれば、交渉材料として年次有給休暇を買い上げることを優遇措置として盛り込むことも有効な交渉材料です。 

 転職先が見つかるまでの雇用契約の延長の優遇措置は、外資系金融機関の退職勧奨の際にしばしば活用されます。おおむね6カ月程度を想定して活用されます。大手企業の場合やポストが高い場合に有効な優遇措置です。 

失業保険の特定受給資格者の説明とは、退職勧奨による合意退職は、会社都合退職として特定受給資格者に該当し、失業保険が解雇と同様の取扱いをされることを説明するということです。 

また、退職勧奨を行う場合には、事前に問題行動があったかどうか、懲戒処分に該当する行為があったかどうかといった点を事実をもとに整理しておく必要があります。大阪府教委(高槻市立玉川小学校)事件(大阪地判平成5・11・29)では、保護者から苦情が出ており、勤務成績不良があり、懲戒処分に該当する行為があった教員に対して、母親および妹を同席させて説得した行為は、様々な説明を受けながらの退職勧奨により、自らの意思で退職届を提出したと判断され、退職勧奨は有効とされました。裁判では、労働者側にこうした帰責事由(本人に法的に責任を取らせる事由)がある場合 には勧奨の違法性を認めないと言う方向にあります。 

最後に、必ず退職合意書を事前に準備しておいてください。優遇措置については、事前に退職合意書に盛り込んでおくことが有効です。退職勧奨は交渉ですので、優遇措置が複数考えられる場合には、それぞれの優遇措置を記載した退職合意書を複数準備しておくとよいでしょう。 

退職勧奨を検討したい場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「解雇有効とだましてした退職勧奨は違法か?」については、こちらをご覧ください。

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