労働法務
2023.07.03
退職を予定している社員に賞与は必要か?
- 当社の就業規則では「賞与支給日に在職している社員に対して賞与を支給する」と規定します。賞与支給日より前に退職した社員から「賞与の査定対象期間には在職していたので、賞与をもらう権利はある」と主張されました。退職を予定している社員に賞与は必要かでしょうか?
退職を予定している社員に賞与は必要ありません。
「賞与支給日に在職している社員に対してのみ賞与を支給する」と規定している会社があります。
しかし、賞与支払日前に退職しても、賞与が一定の賞与査定対象期間中に勤務している場合、賞与請求権が認められるのか否かが問題となります。
大和銀行事件(最一小判昭57・10・7)や京都新聞社事件(最判昭60・11・28)では、賞与支給日に在職している社員に対してのみ賞与を支給することついては、合理性のあるものとして有効としています。
よって、本件においても、当該退職社員に賞与を支給しなかったことについては、有効であると判断します。
また、特記すべきことは、普通解雇や懲戒解雇などの退職日を労働者が自由に決めることができない場合においても、賞与は支給日に在職している場合に支給することを適用できるかについて、裁判例は、賞与支給日に在職している社員に対してのみ賞与を支給することは有効と判断しています(ヤマト科学事件―東京地判昭59・9・27)、(日本テレコム事件―東京地判平8・9・27)。
定年退職者については、賞与支給日に在籍している社員に対してのみ賞与を支給することが有効となりました(カツデン事件―東京地判平8・10・29)。
賞与の支給で悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「退職時の未消化の年次有給休暇を拒否することができるか?」については、こちらをご覧ください。