Tips & Hints お役立ち情報

労働法務

2023.08.07

他社に情報提供した社員に、秘密保持義務違反で損害賠償請求できるか?

tag:
情報提供 / 侵害賠償 / 秘密保持 / 秘密保持義務違反
社員が当社の顧客情報をライバル社に売っていることが判明しました。懲戒解雇し、社員に対し損害賠償請求するつもりです。いいですよね?

他社に情報提供した社員に、秘密保持義務違反で損害賠償請求できます。

会社の従業員は、使用者たる会社に対し、雇用契約に付随する信義則上の義務として、就業規則を遵守するなど労働契約上の債務を忠実に履行し、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならない義務(以下「誠実義務」という。)を負い、従業員が誠実義務に違反し、会社に対し損害を与えた場合には、雇傭契約上の債務不履行責任又は不法行為責任に基づいて損害を賠償する義務がある」(東京コンピューターサービス株式会社事件-東京地判平8・12・27)とされます。 

ライバル社に情報を売るという行為は誠実義務違反と言えますので、懲戒処分の対象となります。ただし、懲戒解雇が相当であるか、その他の懲戒処分が相当であるかは、①結果の重大性(情報漏えいにより会社が負う損害の程度)、②行為の態様(動機、目的、方法)③その他の事情(会社の情報管理体制、頻度、本人の態度)などによります。 

美濃窯業事件(名古屋地判昭61・9・29)では、「機密の漏えいについて労働者の債務不履行及び不法行為が成立する」とされましたが、損害賠償請求については、「本件証拠上、明らかではなく、むしろ会社が漏えいした技術の殆どは、当時の我国における公知技術に属するものであることが伺え・・・義務違反行為ないし違法行為により被告(著者注:会社)の被った被害額を確定するに足りる証拠はなく、損害額は、結局本件証拠上、未明であると言わざるを得ない」と判断され、損害賠償請求が認められませんでした。情報漏えいの場合の損害賠償請求が認められることの難しさを表しています。 

他社に情報提供した社員に、秘密保持義務違反で損害賠償請求できるか悩んだら、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「就業時間中の事故の損害を全額賠償させてよいか?」については、こちらをご覧ください。

人事・労務のパートナーとして、
最高の事務所を選択しませんか?

私たちは相談対応やアウトソーシングなどの
形の見えないサービスを提供しています。
それは必ずや報酬以上の
価値があるものと自負しています。
興味をお持ちの方は、
お気軽にお問い合わせ下さい。