労働法務
2023.08.28
社員が引き抜き行為を行った場合、競業避止義務違反で、損害賠償請求できるか?
- 退社した社員が、直属の部下に対して「自分についてきてくれないか、君の力が必要だ」などという引き抜きを行って、他社に転職した場合、損害賠償請求を行うことはできますか?
社員が引き抜き行為を行った場合、競業避止義務違反で、損害賠償請求できない可能性が高いです。
退職後の社員の引き抜き行為については、裁判例は比較的寛容であり、明示的な特約があった場合ですら「何らかの利益供与を約して勧誘するなど、特別の手段・方法による強力な働きかけをした場合」のみ禁止されるとする裁判例も存在するほどです(総合行政調査会事件-東京地判昭59・11・28)。
結局は、退職した社員の地位や、引き抜きの計画性、方法の相当性や、会社に与える影響の大きさなどの総合考慮となり、損害賠償請求が認められる余地もないとは言えません。しかし、前掲判例等の引き抜き行為に対する寛容な判例の流れからすれば、損害賠償請求は必ずしも容易ではないといえます。
競業避止義務違反で悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「競業避止特約がない場合、競業避止事務違反で、損害賠償請求できるか?」については、こちらをご覧ください。