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労働法務

2023.11.02

退職を許さない会社

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退職

現場の責任者がアルバイトに対して「人手不足なので、辞めることは許さない」と常々発言し、「辞めたい」と発言したアルバイトに対しては、何度も「辞めさせない」と電話し、アルバイトの自宅に押しかけて「シフトが回る人員が確保できないのに辞めることは許さない」と脅しています。いいのでしょうか?

退職の意思表示をしている社員を辞めさせないことは違法行為です。 

 「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」(労基法5条)と規定され「第5条の規定に違反した者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する」(労基法117条)と労基法上の最も重い罰則が規定されています。 

期限の定めのない雇用契約の解約について民法は「雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができ、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」(民法627 条1項 

裁判例では、労働者が労働契約の解約を使用者に一方的に通告した場合には、使用者の承諾がなくてもその意思表示された期日に解約の効力は生じる」(ジャレコ事件東京地判平9620と判断されています。 

 

 

どうすればいいのか? 

 会社が忙しい、人手不足などいかなる理由があったとしても退職の申し出に対しては、理由を聞いたうえで、快く送り出すことを推奨します。労基法5条においても強制労働の禁止が定められていますので、従業員が退職を申し出た場合に法的に拒否することはできません。 

「急にやめたらお客様、同僚に迷惑が掛かります。あと今月いっぱい、2週間引継ぎできませんか」と依頼することをお勧めします。それに応じない場合は、やむを得ないですから、諦めるべきでしょう。嫌々引継ぎを行わせても良いことはありません。日頃から社内の連絡体制を強化し、いつ社員が辞めてもいい状態をつくる必要があります。アルバイトについては、急に辞めることも視野に入れて要員計画を立案する必要があります。人手不足というのは経営上の言い訳にすぎません。 

 急な退職を防ぐ労務管理のアイデアを1つご紹介します。退職者に対する送別会の開催、送別会・朝礼等の集会で退職者からのスピーチ・送り出す社員から退職者に対する感謝の言葉やはなむけの言葉の発表、集会での退職者へ花束等のプレゼント贈呈です。現在在職中の従業員は将来の退職の予備軍です。引継ぎ等を適正に行う等トラブルなく辞めていく退職者に対してはなむけを行なっている場合、自分も将来退職するときには祝福されて退職していきたいと思うはずです。

退職について悩んだ場合は、 沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「SNSでの会社の従業員への中傷を禁止することはできるか?」については、こちらをご覧ください。

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