労働法務
2023.11.13
請負契約のつもりが、雇用契約と主張された
- 当社は学習塾を経営しており、専属講師と請負契約を交わしており、この度契約を解除したところ、「講義以外にもテストの採点や教室運営も任されているし、経営者から様々な指揮命令を受けている。雇用契約だ。不当解雇だ」と訴えられました。請負契約ではなく、雇用契約でしょうか?
教室運営を任され、指揮命令を受けている場合、請負契約ではなく、雇用契約と判断される可能性が高く、不当解雇と判断される可能性が高いです。
請負契約であるか、雇用契約であるかは、契約の形式的名称ではなく、使用従属関係が実質的にあるかどうかで判断されます。河合塾事件(最三小判平22・4・27)で示された具体的な判断基準が参考になります。
請負と雇用の判断基準 河合塾事件(最三小判平22・4・27 )
河合塾事件(最三小判平22.4.27)では、大手予備校の非常勤講師が請負契約書を交わしていたものの、実質的に使用従属関係が成立していたとされました。
どうすればいいのか?
請負契約と雇用契約の境界は、前述した①指揮監督関係の存在、②報酬の労務対象性、③その他を総合的に判断し、実質的に使用従属関係が成立しているかどうかを総合的に判断することが必要です。
請負契約にする際には、以下の条件を満たすようにしてください。
社会保険労務士、弁護士等の専門家に判断を委ねることを推奨します。
請負契約ではなく、雇用契約と判断されたならば、契約関係を見直すことが必要です。労働保険・社会保険の加入、労働基準法上の時間管理義務や残業の支払義務が新たに発生することを視野に入れ雇用契約書を新たに締結する必要があります。
請負契約と雇用契約の判断で悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「パートの賃金を正社員と同等にしなければならないのか?」については、こちらをご覧ください。