労働法務
2023.11.27
労働時間の基本的な考え方とは?
労基法は、労働者に休憩時間を除き1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させてはならないと定め(労基法32条)、これに違反した使用者に対して罰則の適用を予定しています(労基法119条1項)。また、この上限を超えて労働させた場合、割増賃金の支払いが必要となります(同法37条1項)。
このため、労基法上の労働時間の定義が問題となりますが、裁判例(三菱重工業長崎造船所事件-最一小判平12・3・9)では、「労働時間」について「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と客観的に定義されて、「労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」と判断されています。
この裁判例では、作業服等の着脱行為を含む業務の準備行為について、「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する」と判断されています。多くの裁判例では、①義務付け(強制)の程度、②業務性の有無(業務との関連性)、③時間的・場所的拘束性の有無を総合考慮して、「労働時間」に該当するか否かが判断されています。
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