労働法務
2023.12.27
懲戒の基本的な考え方とは?
懲戒とは企業秩序維持義務違反に対する制裁罰です。従業員の義務違反行為に対し、会社が懲戒処分を行う場合は、就業規則等で懲戒規定を設け、非違行為が懲戒処分事由に該当することが必要です。
この非違行為は、刑事法の「犯罪」にあたるものです。また、懲戒の種類としては、一般的に譴責・戒告・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇があります。これらは刑事法の「刑罰」にあたるものです。
懲戒規定があり、非違行為が懲戒処分事由に該当するからといって、無制限で懲戒処分することは、懲戒権の濫用となる可能性があります。
懲戒処分を有効にするためには、懲戒事由の該当性に加えて、相当性が必要となります。相当性とは、非違行為が懲戒事由に該当すると判断されても、社会通念上相当と認められない場合は、懲戒処分は無効となります。つまり、懲戒処分は、たとえ合理的な理由があっても、重すぎれば相当性を欠き、その処分は無効となるのです。分かりやすくいえば、「万引き」は犯罪行為に当たりますが、「死刑」は重過ぎる刑罰であるのと同じです。
また、懲戒処分の有効性については、次のポイントが急所となります。①懲戒の根拠規定が存在する(懲戒事由の存在)、②懲戒規定が従業員に周知されている(周知義務)、③非違行為後に就業規則に新たに懲戒事由を追加している場合、当該事由をもって過去の行為を懲戒処分できない(不遡及の原則)、④同一事案について、重ねて処分することはできない(一事不再理)、⑤懲戒事由発覚から懲戒処分まで長期間経過させない(時期的限界)、⑥同程度の事案に対して、懲戒の種類及び程度が異ならないようにする(処分の相当性)。このように懲戒規定の存在はもちろんのこと、その運用や手続きが重要となるのです。
懲戒について悩んだら、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「安全衛生の基本的な考え方とは?」については、こちらをご覧ください。