労働法務
2024.01.22
損害賠償の基本的な考え方とは?
社員が故意または過失により会社に損害を与えた場合には、会社はその社員に対して不法行為に基づき損害賠償を請求することができ(民法709条)、また、社員が債務不履行により会社に損害を与えた場合にも、会社は債務不履行に基づき損害賠償を請求することができます(民法415条)。さらに、社員の不法行為により会社が第三者に対して損害賠償責任(民法715条1項の使用者責任など)を負担した場合、会社はその社員に対し求償権を行使することができます。
このような場合、会社は社員に対して、損害賠償等を請求せず、懲戒処分で対応することが多いでしょうが、法的には、懲戒処分を下しても、社員の損害賠償責任が免責されるわけではありません。懲戒処分は企業秩序違反に対する制裁であるのに対して、損害賠償責任は会社の受けた損害の補填を目的としており、その性質が異なるからです。
もっとも、業務に関連する損害については、必ずしもその損害全額を社員に負担させることはできず、①社員の過失の程度、②会社側の管理体制(事前措置、教育、任意保険、労務管理状況等)、③社員のおかれた状況(懲戒処分等を課されているか、社員の資力等)などに応じて、社員に請求できる賠償額が決まります。過去の裁判例も、会社が社員に請求しうる範囲の限度額について、損害額の4分の1(茨城石炭商事事件-最一小判昭51・7・8)、損害額の5分の1(富隆運送事件-名古屋地判昭59・2・24)と判断しています。
損害賠償について悩んだら、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「労働契約の終了の基本的な考え方とは?」については、こちらをご覧ください。