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労働法務

2022.03.01

盗撮は、解雇してよいのか?

tag:
セクハラ / 解雇 / 懲戒解雇
男性社員が会社の女子更衣室にビデオカメラを設置し、何カ月にもわたり繰り返し盗撮していたことが判明しました。この男性社員は以前もセクハラで懲戒処分を受けていたので、今回は、会社の断固たる姿勢を示すために懲戒解雇を行うつもりですが、いいでしょうか?

懲戒解雇もやむなしといえます。

 盗撮は犯罪行為です。軽犯罪法違反または各自治体の迷惑条例違反です。必要があれば、警察に被害届を提出する準備があることを本人に伝えてください。参考として、人事院の懲戒処分の指針では、盗撮行為は、停職又は減給とする(人事院事務総長発平12・3・31)とされています。本件では、以前にもセクハラで懲戒処分を科されているにもかかわらず、何カ月にもわたり盗撮をしていたのですから、会社の注意・指導にも関わらず、改悛の余地は少ないと考えられます。したがって、懲戒解雇処分は相当と考えられます。 

 会社には職場内の環境を整える義務がありますから、社員が盗撮されないようにしなければなりません。京都セクシャル・ハラスメント(呉服販売会社)事件(京都地判平9・4・17)では「被告会社(著者注:会社)は、雇用契約に付随して、原告のプライバシーが侵害されることがないように職場の環境を整える義務がある」と判示されています。 

 また、同事件では、会社に真相解明と再発防止の義務について、「女子更衣室でビデオ撮影されていることに気付いたのであるから、会社は、何人がビデオ撮影したかなどの真相を解明する努力をして、再び同じことがないようにする義務があった」と判示しています。本件では、社員は、以前にもセクハラで懲戒処分を科されているにも関わらず、再び盗撮事件を起こしていますので、再発防止のためには、懲戒解雇もやむなしと考えられます。

 

どうすればいいのか? 

 「職場におけるセクシュアルハラスメント」には「対価型」と「環境型」があります。 

「対価型セクシュアルハラスメント」とは労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けることです。 

「環境型セクシュアルハラスメント」とは 労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることです。 

 盗撮が発生しないように会社が対策を講じることは「環境型セクシュアルハラスメント」の予防の一環と言えます。 

 まずは、会社はセクハラを許さないという断固たる姿勢を会社全体に示し、研修等を通じて啓蒙活動を繰り返していくことが必要です。 

盗撮等悪質性が高いものについては、刑事告発を行うことも有効な手段です。 

 盗撮等がされにくいように女子更衣室の鍵を整備したり、監視カメラを設置することも再発防止策に寄与する手段です。 

盗撮で、社員を解雇して良いか悩んだ場合については、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「セクハラ防止体制の必要性と対価型セクハラとは?」については、こちらをご覧ください。

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