労働法務
2022.04.26
パワハラの類型(③人間関係からの切り離し)って何?
- 部下が何度も話しかけているのに無視する上司がいます。会社から上司に対して、無視しないように注意しましたが、上司は、「無視は指導の一環であり、業務の適正な範囲内である」と主張しています。これはパワハラに該当すると考え、懲戒処分を下そうと考えていますが、いいですよね?
パワハラです。懲戒処分してください。
厚生労働省では、パワーハラスメントの6つの類型の1つとして、「人間関係からの切り離し」を挙げ、具体的行為として「隔離・仲間外し・無視」を挙げています。
前述の報告書においては、隔離・仲間外し・無視については、業務の遂行に必要な行為であるとは通常想定できないことから、原則として「業務の適正な範囲」を超えるものと考えられるとされています。
国際信販事件(東京地判平14・7・9)では、社員が会社内において受けた嫌がらせにつき、社員を会社の中で孤立化させ退職さるための嫌がらせが長期にわたり繰り返し行われたこと、会社らは当初からこのような事実を知りながら特段の防止措置をとらなかったこと等から不法行為に基づく損害賠償責任を負うとされました。
また、松陰学園事件(東京地判平4・6・11)では、高等学校における女性教諭に対する10年以上にわたる仕事はずし、職員室内隔離、一人部屋への隔離及び自宅研修の各措置につき、精神的苦役を科する以外の何ものでもなく、隔離による見せしめ的処遇は、名誉、信用を著しく侵害するものであったとして、高等学校に慰謝料の支払いが命じられています。
隔離・仲間外し・無視といった行為を行う社員に対しては、注意・指導を行ない、パワハラ教育を徹底し、懲戒処分を下すことを検討してください。
パワハラで悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「パワハラの類型(②精神的な攻撃)って何?」については、こちらをご覧ください。