労働法務
2022.08.16
競業する会社で兼職した場合、懲戒解雇は有効か?
- 当社の部長が無断で、自ら当社と同業の会社を起こし、その取締役に就任していることが発覚しました。 部長もその事実を認めたため、就業規則に存在する「会社の承認を得ないで在籍のまま他に雇われたとき」という懲戒事由に基づき、懲戒解雇しました。 ところが、その者から「管理職にあったとはいえ、自分は会社の経営に直接携わっていない。懲戒解雇は無効だ」と言われました。懲戒解雇は有効でしょうか?
懲戒解雇は有効とされる可能性が高いです。
本件においても、懲戒処分を行うについての「①事実の確認」「②法的評価(懲戒事由該当性の検討)」「③処分の重さの検討」のうち、「③処分の重さ」が問題となっているものです。
ポイントは、「社員が管理職」であること、そして「社員の就業先が競業にかかるもの」です。
本件と類似の裁判例(橋元運輸事件-名古屋地判昭47・4・28)は、「(労働者)は被告の単なる平従業員ではなく、いわゆる管理職ないしこれに準ずる地位にあつたのであるから、被告の経営上の秘密が原告らにより訴外幸平にもれる可能性もあることなどの諸点を考え併せると、原告らが被告の許諾なしに、訴外会社の取締役に就任することは、たとえ本件解雇当時原告らが訴外会社の経営に直接関与していなかつたとしても、なお被告の企業秩序をみだし、又はみだすおそれが大であるというべきである」として、懲戒解雇を有効と判断しました。
すなわち、管理職の立場にある者による競業にかかる兼職については、裁判所も厳格な姿勢をとっており、懲戒解雇が有効になる可能性が高いということができるでしょう。本件懲戒解雇も有効とされる可能性は高いものといえます。
兼業で解雇が有効かどうか悩んだ場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。
「兼業で懲戒解雇していいのか?」については、こちらをご覧ください。