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労働法務

2023.04.24

有期契約の雇い止めを有効にするポイントは?

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雇止め / 有期契約

東芝柳町工場事件と前掲日立メディコ事件は、反復更新された有期労働契約の雇止めという類似の事案ながら、その勝敗が分かれました。有期労働契約の雇止めを有効にするためには、まずは、両裁判例の勝敗を分けたポイントを分析すべきです。  下記の表では、それらの要素ごとに比較を行っています。

まず、東芝柳町工場事件(雇止め無効)は、日立メディコ事件(雇止め有効)と異なり、①業務内容に本工(正社員)との差異を設けていませんでした。正社員と契約社員(有期労働契約者)との間で業務内容や責任(転勤等の配転可能性も含む)に差異がないのであれば、契約社員から正社員への転換も検討すべきです。 

 次に、東芝柳町工場事件(雇止め無効)は、日立メディコ事件(雇止め有効)と異なり、②ほとんどの臨時工を継続雇用し、③契約更新時に新契約締結の手続きをしていませんでした。雇止めが無効とならないためには、その都度厳格な更新手続を行うべきです。更新の都度、㋐契約満了時点の業務の有無または業務量、㋑本人の職務能力、就労成績、健康状態、解雇・懲戒事由該当、㋒従事している業務の進捗状況、㋓会社の経営内容、経営悪化や大量の業務削減などの経営状況などを慎重に検討して更新の可否を判断しましょう。契約期間の満了を迎える社員については、事前に面談などを実施し、更新するか否かを明確に通知してください。更新する場合は、更新日前にあらたな有期雇用契約書、更新しない場合は、雇止通知書を交付してください。 

 さらに、東芝柳町工場事件(雇止め無効)は、日立メディコ事件(雇止め有効)と異なり、④採用時に継続雇用を期待させる言動を行っております。真に有期労働契約で雇止めが予定されているのであれば、前掲東芝ライテック(雇止め)事件のように、不更新条項を明示して継続雇用の期待を抱かせないことです。 

 なお、労働契約法の一部改正され、有期労働契約から無期雇用契約への転換が新たなルールとして設けられました(平成25年4月1日施行)。これは、有期労働契約が更新されて契約期間を通算した期間(通算契約期間)が5年を超える場合は、労働者が現在の有期労働契約の契約期間の満了日までに申込みをすると、期間の定めのない労働契約(無期雇用契約)に転換するというものです。 

 このような転換ルールに鑑みても、長期雇用を前提とする有期労働契約は、初めから無期労働契約を前提にして、その業務内容や責任に応じて、限定正社員制度を新設するなどの工夫が必要です。 

有期契約の雇止めを検討したい場合は、沖縄の社会保険労務士法人堀下&パートナーズにお問い合わせください。

「不更新条項のある有期労働契約の雇止めは有効か?」については、こちらをご覧ください。

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